ブレッドギーク池田浩明の
スペシャルパンコラム

Text:池田浩明

近年のすさまじいパンの進化によって、ワインシーンにぐっと近づいてきた感がある。発酵種から自家培養する複雑なフレーバーのパンは、まさしく自然派ワインに等しい。最近増えている、地粉など地元産食材を使ったパン屋は、ワインでいえばまさにドメーヌを意識した造り手といえる。女性の造り手は母性を感じさせるやさしい感性で注目を浴びているし、伝統的な造り方を重視するトラッド派もあれば、独創的な新商品を次々送り出すクリエーション系もある。本場フランスのパンから日本的なパンまで幅広く網羅するゼネラリストもいれば、たった一種のパンに賭ける一芸の名人もいて、まさにワインの世界と同じように多面性の幅を日々広げている。素材重視とか発酵へのこだわりとか、パンとワインそれぞれの造り手同士の波長を同調させるのもおもしろい選び方だ。

パンは食卓の上の料理やお酒のつなぎ役を果たす。おいしいパンがあると、食事の楽しみはぐっと広がる。たった一本のバゲットでいい。優れたバゲットははじまりから終わりまで付き添ってくれる。メインのお供はもちろん、料理をしながらちょっとかじって小腹を満たしたり、食後のチーズとあわせたり。シンプルなゆえにどんなワインも受け入れてくれるのもうれしい。

最近のパンは、グルメに寄っている。混ぜ込まれるレーズンやイチジクなどドライフルーツのクオリティも格段に上がった。ワインの持つフレーバーとマリアージュを考えて選ぶと楽しい。パテやレバーペーストサンドイッチやフォワグラのパンはその日のメインを張れる豪華さで、赤と合わせるのもいいだろう。
 テロワールももちろんある。フランス産小麦のパンの重厚なフレーバーはやはりフランスワインにとても合うし、日本ワインと国産小麦はやさしさや親しみやすさにおいて響きあっている。

意外な組み合わせもある。クロワッサンやパネトーネのバター感やエアリーさはスパークリングとうってつけの相性だ。カレーパンとドイツのさわやかな白ワインも楽しい。デニッシュ、メロンパン、ベーコンエピ…昔ながらのパンも材料やその組み合わせを吟味し、研ぎ澄ませて作られているので、ワインと意外にも合ってしまう。ぜひアグレッシブに攻めて、あなただけのワインとパンの組み合わせを見つけてほしい。

池田浩明

パンラボ主宰、ブレッドギーク(パンおたく)。パンを食べ、パンを考え、パンと遊び、パンを書く。食べまくりの日々をtwitter(@ikedahiloaki )で発信中。2月20日[月]に新刊『空想サンドウィッチュリー』発売。刊行記念として、「世界を旅するワイン展」にて、本書に登場する「ダンボール屋台」を一般初公開。また、本書に登場するサンドイッチの中から、特にワインに合うサンドイッチのセットを特別販売します。
パンラボblog(panlabo.jugem.jp )おいしくて安全な小麦を広めるプロジェクト「新麦コレクション」(mugikore.net )主宰。

『空想サンドウィッチュリー』をお買いあげの各日先着30名さまに、西山シェフ特製レーズンサンド(1個)プレゼント!

『空想サンドウィッチュリー』

2月20日[月]発売
ガイドワークス刊
著者:西山逸成(ル・プチメック/レフェクトワール)・池田浩明(パンラボ)

移動式のダンボール屋台をさまざまな場所に建て、夢のサンドイッチ屋をお試し開店する。
1日だけの特別なサンドイッチを作るのは、人気ベーカリー〈ル・プチメック〉の西山オーナー。
駅、海岸、小麦畑、本屋、戦場、江戸時代!?
さまざまな場所にふさわしい奇想天外な弁当を考案。
全メニューレシピ付き。

池田浩明氏来店

□2月22日[水]~27日[月]
各日午前10時30分~正午
※25日[土]のみ午後3時~4時30分